親知らずってなに?
親知らずはいつ生えてくるの?
親知らずって抜いたほうがいいの?
親知らずを抜かないとどうなるの?
親知らずってどうして痛くなるの?
親知らず抜くのって痛いの?
親知らず抜いたら腫れるの?
患者様や友人そしてそのほかいろいろな方から“親知らず”に関する質問をされることが本当によくあります。
そのなかで、一番良く受ける質問は、親知らずって抜いたほうがいいのか、抜かないとダメなのか、抜かなくてもいいのか、抜いた後はどうするのか、といった質問です。
そこで、皆さんが知りたい親知らず関する疑問を詳しく解説してみましょう。
1.親不知とは
親知らずとは約18歳くらいから24~25歳くらいの時期に、前歯から数えて8番目に生えてくる一番奥の歯で、専門用語でいういわゆる「第3大臼歯」と呼ばれている歯のことを言います。
基本的には上下左右に4本生えてくると言われています。しかし必ずしも4本生えてくるわけでありません。
上下左右のうち全ての親知らずの存在自体ない場合(25%の人)どこか1か所または2~3か所の親知らずの存在しかない場合全ての親知らずはあるが、まだ出てきていない、若しくは親知らずの一部分が見えてきている場合親知らずが横向きに生えている場合全ての親知らずがまっすぐ綺麗に生えている場合というようなケースがあります。
現代の日本人は遺伝的に顎が小さい場合の他、食生活において柔らかい食品を食べることが多いため、特に下の顎の発達があまり良くなく、顎の大きさが小さい人が多い。
その小さい顎に本来生えるべき永久歯数14本が生えてくるため、その14本すら顎に並びきらずガタガタに生えてしまう。その上、一番奥の歯のさらに奥に親知らずが生えてこようとするため生えるだけの十分なスペースがないことが多い。このため、横向きに生えたり傾いて生えてきたりする場合があります。
このような場合は歯ブラシが親知らずまで届きづらく、虫歯や歯肉炎になりやすい。親知らずが虫歯になったり、歯肉炎で親知らずの周りの歯茎が腫れると、痛み止めが効かない程の痛みが出て、しかも腫れて膿が出てきます。
膿が出てくればもちろんものすごい口臭がしてきます。親知らずの周りの歯茎が腫れているときは麻酔が非常に効きづらく抜くときにはとても痛い思いをします。
ですから腫れているときは抗生物質と抗炎症剤で一度患部の痛みと腫れを鎮静させて後日抜くことになります。要するに数日間痛みを我慢しなくてはならないのです。ですから、親知らずを抜いたほうがいい場合には、痛みや腫れといった症状が出る前に抜くことをお勧めします。
また年齢が上がると顎の骨と歯の根が癒着(歯が骨化すること)してくることがある。
このような状態になると抜歯するのが非常に困難になり、また抜歯後もかなりの痛みと腫れを伴うので、できるだけ若いうちに親知らずを抜歯をしておく方がいいでしょう。
抜歯の難易度は上顎より下顎の方が難しく(顎の骨の作りが上顎と下顎では異なるため)また、まっすぐ生えているものより横向きに生えているものの方が難しい。
そして最も難しい症例は下顎で横向きに骨の中に埋まっている親知らずです。
この症例では歯茎を切開した後、顎の骨を少し削り、歯の頭の部分を割って取り出したのち残りの横向きに埋まっている歯の根を抜き取ります。
抜き方が非常に複雑かつ大変なため抜くのにかなりの時間を必要とします。
費用は3割負担で6000〜7000円くらいです。
一般の歯科医院では抜歯が難しい症例においては口腔外科での抜歯を勧められることがあります。
抜歯するに当たり、局所麻酔という注射の麻酔が必要になってきますが、下顎の奥歯には非常に効きづらいため、治療中に痛みが生じる事が多々あります。
その場合は麻酔薬を追加して完全に痛みのない状態にして抜歯することが大切です。
また、どうしても親知らずの抜歯が怖い患者様には大学病院での全身麻酔下の抜歯という方法もあります。
2.抜いた後の症状は
まっすぐ生えている上顎の親知らずの抜歯は、抜いた後の痛みや腫れは、個人差は多少ありますが、ほとんどない場合が多いです。
それに比べて下顎の親知らずの抜歯は、まっすぐ生えている親知らずはそれほどでもありませんが、横を向いている親知らずの抜歯後は、大抵はかなりの痛みと腫れが伴います。ですから、大事な仕事や食事会、旅行などが数日後に控えている場合などは避けた方がいいでしょう。
また、抜いた日は身体の血液の流れが良くなるようなこと、(例えば飲酒、激しい運動、お風呂の長湯、サウナなど)は避けてください。出血が止まらなくなるからです。もし出血が止まらなければガーゼを硬く丸めて15分くらいギュッと咬んでいていただくと大抵は止まります。それでも止まらなければすぐに歯科医院に連絡してください。
また、歯を抜いた日とその次の日は口の中の唾液に血がまじっている感じがありますが、その唾液を強く吐いたり激しいうがいを何度もすることも避けてください。そして抜くタイミングが重要になってきます。
抜いた後2~3日は安静に出来る日に抜歯出来るのが理想です。
もちろん抜歯した日からは抗生物質と痛み止め時にはうがい薬が必要になってきます。
3.抜いたほうがいい場合
3-1親知らずが生えてきたことで今までより歯並びが悪くなってしまった場合
親知らずが生えてきたことによって手前に並んでいる歯を少しずつ押してしまい前歯がガタガタになってしまう。
3-2親知らずまで歯ブラシが届かず上手く磨けない場合
親知らずまできちんと歯ブラシをとどかせてしっかり磨くことは私たち歯科医でも容易なことではなく、上手く磨けなければ当然虫歯や歯周病になり痛みを伴うことになりかねません。
3-3親知らずが生えてきて痛みが出てきた場合
この場合の痛みは生えてくるときに歯茎を突き破って出てくるときの痛みと、生えてきたことで周りの歯茎が雑菌によって炎症を起こしてしまった時の痛みがあります。
4.抜かないとダメな場合
① 上顎の左右どちらか、または両側の親知らずを既に抜いてあり、本来その親知らずと咬み合うべき下の親知らずがまだ残っていて、その下の親知らずが上に向かって伸びてきている場合
② 下顎の左右どちらかまたは両側の親知らずを既に抜いてあり、本来その親知らずと咬み合うべき上の親知らずがまだ残っていて、その上の親知らずが下に向かって伸びてきている場合
② 親知らず自体が虫歯でボロボロになってしまっている場合
③ 親知らずがあることで手前の歯が虫歯になってしまっている場合
5.抜かなくてもいい場合
① 患者さん自身で口腔内を清潔に保つことが出来、親知らずが正常な生え方をし、虫歯や歯肉炎、歯周病に罹患しておらず健全な状態を維持出来る場合
② レントゲン上で親知らずが完全に骨の中に埋まっていて今後生えてくる可能性がない場合
まとめ
いかがでしたか、お分かりいただけましたでしょうか?
以上が皆さんが知りたい“親知らずに関する疑問”に対する解説です。
人によって様々なケースがあるので、やはり一度歯科医院で自分の親知らずはどの症例に当てはまるのか、そしてどうするのが最も良いのかをしっかり説明を受けた方がよいでしょう。
五十嵐歯科HPの痛くない親不知抜歯ページを参照ください。